夫婦三組の物語が、ついに決着しました。
最終回では “15年前の事件” をなぞるかのように、運命の歯車が再び動き出します。
夫婦はどこですれ違い、どこで壊れてしまったのか——。
『夫よ、死んでくれないか』最終回では、麻矢と光博の登山を軸に、4組の夫婦の“終着点”が描かれました。
衝撃的な展開の連続と、ラストに残された問いかけ。
「愛しているのに、許せない」という想いが交錯した最終話を、ネタバレありで振り返ります。
もくじ
光博と麻矢|愛と殺意が交差した山の結末
- 光博の真意
子どもの頃から好きだったという山へ麻矢を連れ出したのは、「麻矢と一緒に登りたかった」という願いだけではありませんでした。実際は 光博には麻矢を殺すつもりがありました。 - すれ違いの告白
吊り橋で互いの不満をぶつけ合い、焚き火を囲んで「昔みたいに戻りたい」と語り合う二人。
しかし夜が明けると、光博は麻矢を海が見える場所へ誘い、「愛してるから許せない」と麻矢の首を絞め始めます。 - 崖下への転落
麻矢は近くの石で光博を殴り、衝動的に崖下へ突き落とす――それは15年前に熊の置物で男を殴り、突き落としたあの夜の再演のようでもありました。 - 熊がもたらした皮肉な最期
崖下でまだ息のあった光博は、現れた熊に襲われ絶命。
「麻矢…」という言葉を最後に命を落とし、葬儀のシーンへとつながります。
15年前に“とどめ”を刺したのが千田だったように、
今回は“自然”が決着を選んだ――そんな皮肉が濃い幕切れでした。
璃子と弘毅|“束縛”から“共に育つ家族”へ
- 離婚寸前の選択
家を出ていく璃子を見送る際、横断歩道で璃子を突っ込んでくる車から守った弘毅。
「GPSも、携帯チェックもしない?」と念押しする璃子に、弘毅は戸惑いながらも頷きます。
璃子がそばにいてくれるならケガもものともしない、ある意味いつもの弘毅です。 - 三人で生きる未来
不倫で授かった子どもを含め、三人でやり直すと決意。
完全な和解ではなく“歩み寄り”を選んだラストでした。
友理香と哲也|尊厳を守る決別と娘に残った影
- 慰謝料をめぐる対立
「あんなに高額な慰謝料払えるわけない」とやってきた哲也。みんなの前で土下座し「やり直したい」と謝る哲也に、友理香は冷静に ――
「2度と現れないで」と拒絶。哲也は「お前ひとりじゃあ稼いでいけないだろう?」捨て台詞を残し立ち去りました。 - 離婚成立と不穏な余韻
ゆなに絵本を読み聞かせながら「いいパパはもういない」と告げる友理香。
ラストでは、ゆなが熊のぬいぐるみを糸でぐるぐる巻きにして遊ぶ姿が映り、ゆなの心にあの事件が濃く残っていることを暗示します。
千田と映美|“支配者”の因果応報
- 千田殺害の容疑者として、映美が逮捕。
- 供述は「日頃から夫を殺したいと思っていた」。
完璧に見えた主婦インフルエンサーの裏側に潜む闇が浮き彫りに。
光博の最期と麻矢の“答え”|それぞれが選んだ夫婦の結末
光博が熊に襲われて命を落としたのち、彼の葬儀がしめやかに行われます。
弔問に訪れた刑事が「旦那を殺したのはあんたかい?」と問うと、麻矢は静かに「いいえ」と答えました。
火葬が進むあいだ、麻矢は友理香・璃子の前で泣き出し、やがて笑い声に変わり、また嗚咽へと戻っていきます。
混乱するようなその姿に、2人はどこかゾッとしたようなまなざしを向けるのでした。
この場面で浮かび上がってくるのは、「言葉」がもたらす心の破壊力です。
光博にとっては、最愛の麻矢からかけられた「死ね」という直接的な言葉。
友理香にとっては、日々積み重ねられた無能扱い。
「好きな人から“死ね”って言われた時の気持ち、考えたことある?」
「一度は大切にしたいって思ったんでしょ? なのに、どうして……?」
傷つけた側は「そんなつもりじゃなかった」と言うかもしれません。
でも、言われた側にとっては、それが“すべて”になってしまうこともあるのです。
最終回は、そんな夫婦間のすれ違いが限界を迎えた瞬間と、
それでもなお生きていこうとする3人の姿が強く印象に残るラストとなりました。
物語の終盤、麻矢・璃子・友理香の3人は一緒に食卓を囲みます。
鍋には、あの山で光博を襲った“熊の肉”。
「今、幸せ?」という問いに、
「なるんだよ、これから幸せに──でしょ」と微笑み合う3人。
けれどその裏で、不穏な兆しも見え隠れしています。
友理香の娘・ゆなは、ぬいぐるみを糸でぐるぐる巻きにしながらひとり遊びをしていました。
殺してしまう妻、追い込んでしまう妻、消し去る妻、操縦する妻……。
一緒に生きていくと誓ったはずの夫と、
分かり合えず、無視もできず、傷つけ合った日々。
その先に残るのは、愛情なのか、後悔なのか、それとも…。
「これは、あなたの物語でもあります。」
つり橋の上での、麻矢と光博の言い合いに「わかる・・・」となった人も多いのではないでしょうか。
まとめ|「夫よ、死んでくれないか」最終回ネタバレ
スリリングな展開で幕を閉じた『夫よ、死んでくれないか』。
けれどこの物語が本当に描きたかったのは、犯罪や復讐の刺激ではなく、
“夫婦という名の、他人との共存のむずかしさ”だったのかもしれません。
- 夫に殺意を抱き、実行に至った千田の妻・映美
- 夫を追い詰めて、自滅へと導いた麻矢
- 夫との関係を断ち、ひとりの道を選んだ友理香
- 愛情深い夫を“調整”して結婚生活を守る璃子
「好きな人から“死ね”って言われた気持ち、考えたことあるか?」
そんな言葉が、このドラマのすべてを物語っていたように思います。
一緒に生きていくと誓ったはずの夫と、
分かり合えず、無視もできず、傷つけ合ってしまう日々。
その先に残るのは、愛情なのか、後悔なのか、それとも…。
これは、あなたの物語でもあります。
夫婦という日常に潜む“すれ違いのタネ”は、誰の家にも転がっているからこそ。
一緒に生きていこうと誓ったはずの夫婦。
けれど、分かり合えなくなった日々が積み重なり、
どこで間違えたのかもわからないまま、
気づけば「どうして、こんなに遠くに来てしまったんだろう」と思うようになる。
そんな30代の妻・麻矢の葛藤に自分を重ねた人も多くいるのではないでしょうか。