『夫よ、死んでくれないか』原作ネタバレ完全版｜麻矢が「死んでほしい」と願うまでの理由とは？

『夫よ、死んでくれないか』の原作小説には、ドラマ版では描かれない衝撃的な人間関係と深い心理描写が詰まっています。

この記事では、麻矢を中心に展開する原作ストーリーの全貌と、ラストの「夫よ、死んでくれないか」という言葉に込められた本当の意味を、ネタバレありで丁寧に解説します。

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原作はどんな物語？｜夫婦の不満が募っていく日常

原作小説『夫よ、死んでくれないか』は、3人の女性たちが、それぞれの夫に対して抱える不満・怒り・諦めを静かに、けれどじわじわと描いていくサスペンス作品です。

舞台は現代。登場人物は、大学時代からの友人である麻矢・璃子・友理香の3人。日々の会話のなかで飛び出す「夫なんて死ねばいいのに」という言葉が、ただの愚痴ではなく、それぞれの人生を変えていく“引き金”になっていきます。

表面上は平穏に見える家庭の裏で、彼女たちはそれぞれの地獄を抱えていたのです。

本作の語り手は麻矢。彼女の目線を通して、3人の夫婦関係が描かれていきます。

麻矢は、結婚を機にキャリアアップの機会を逃し、夫との関係も冷え切っています。無関心、すれ違い、会話もない生活。けれど「離婚」という選択肢をとるほどには動けない——そんな微妙な心情が丁寧に描かれています。

そしてある日、友理香からの電話が入ります。「夫を突き飛ばしたら、動かなくなったの」

この瞬間から、物語が静かに、確実に動き出します。

物語の序盤、麻矢の夫・光博が失踪します。きっかけは、クローゼットに残された女物の香水の香り。

酔った勢いで麻矢は光博を責め、「あんたなんて死ねばいいのに」と口走ってしまいます。その翌日、光博は姿を消します。

やがて判明するのは、光博が不倫していた相手が、麻矢の職場の後輩だったという事実。その後輩は、かつて麻矢に強い憧れを抱いていた人物でした。けれど憧れはやがて「麻矢になりたい」に変わり、ついには麻矢の夫を奪い、麻矢に持ちかけられていたヘッドハンティングの話まで横取りしてしまいます。

麻矢が光博を迎えに行こうとしたその時、彼女は麻矢の家を訪れ、自分が“麻矢の代わり”として転職を決めたことを伝えるのです。

この瞬間、麻矢はすべてを失ったと感じます。

さらに、麻矢を追い詰めるのが実兄の存在。光博と兄はゲーム仲間であり、光博は兄に「麻矢と仲直りしたい」と相談していた過去も明らかになります。

麻矢にとっては味方だと思っていた兄。けれど兄は、彼女にこう言い放ちます。

「子どものころからお前はそうだった。うまくいかないと人のせいにして、自分が悪いとは思えない。お前は冷たい女だ。そういう人間なんだよ」

麻矢が突きつけた「死ねばいいのに」という言葉。これは、光博にとってトドメの一言でした。

なぜなら、以前から光博は、麻矢が友理香・璃子と集まって「夫が死ねばいいのに」と笑っていたことに深く傷ついていたからです。

そのうえで、自分の不倫が露呈し、麻矢から罵倒された——。光博は、麻矢の元を去るという形で、自らを罰したのかもしれません。

麻矢は、すべてを失います。夫、キャリア、誇り、信頼。

けれど彼女は、それでも光博を迎えに行く決意をします。

警察の待合室で、光博と再会したその瞬間。テレビには「夫を殺した老女」のニュース。

麻矢は、心の中でつぶやきます。

「結婚したときから、そのことばかりを考えていた。夫よ、死んでくれないか。」

このセリフは、決して“殺意”ではありません。

「なぜ、こんなふうにしか生きられなかったのか」「なぜ、わかりあえなかったのか」

そうした悲しみとあきらめが込められた、静かな祈りのような言葉です。

原作『夫よ、死んでくれないか』は、派手な事件や大きな展開があるわけではありません。けれど、ページを閉じたあとにじわじわと心に残る“静かなホラー”です。

登場人物たちは誰も完璧ではなく、誰も極端な悪人ではない。だからこそ「自分にもこういう感情があるかもしれない」と思わせられる。

この作品が訴えかけてくるのは、

「私たちは、どれだけ人を許せるのか」「人と人は、どこまでわかり合えるのか」

という問いなのかもしれません。

原作を読んだあと、あなたの“夫婦観”も、少し変わるかもしれません。

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原作の深さを知ったあとに、ぜひドラマ版の“オリジナル展開”も体感してみてください。

※本ページの情報は2025年5月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXT公式サイトをご確認ください。